公明党 10 万 円。 「全国民に10万円」めぐる自公連立21年目の大喧嘩!安倍×山口×二階・岸田…緊迫48時間の舞台裏

公明党「所得制限なしで一人あたり10万円給付を」

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緊急事態宣言を発令した安倍晋三首相。 写真は4月7日の記者会見(代表撮影/ロイター/アフロ) 安倍晋三首相は4月16日、緊急事態宣言の対象を全国に拡大するとともに、「困窮世帯に30万円」としていた現金給付を「全国民一律1人10万円」に大転換した。 政府の一連のコロナ対策への国民からの批判の拡大と、内閣不支持率の急増が背景にあるとみられるが、浮足立ったトップリーダーの右往左往ぶりに、国民の間からも「もはやアベノリスクだ」との厳しい声も出始めた。 目立つ政府首脳の狼狽と迷走 全国緊急事態宣言や一律10万円は、国内での感染拡大が始まった段階から、各界各層で要望の声が相次いでいた。 このため、「全国宣言は遅すぎ」「給付金変更は究極の場当たり」などという批判が広がった。 安倍首相と政府与党幹部による「遭遇戦のような緊急協議」(自民幹部)が本格化したのは、4月7日の緊急事態宣言発令から9日目の16日午前のこと。 政府は16日夕から専門家会議への諮問や国会などを経て、緊急事態宣言の全国への拡大と一律10万円給付への方針転換を相次いで正式決定した。 「まさにドタバタ劇の連続」(政府筋)で、その間の政府首脳らの狼狽ぶりや迷走も際立った。 中でも最大のサプライズは、国民1人あたり一律で10万円を配るという決定だ。 7日に閣議決定した108兆円の超大型経済対策の中で、最大の目玉となる現金給付方式を大転換した。 これに伴い、極めて異例な補正予算案の組み替えに、野党は「前代未聞で空前絶後」(国民民主)、「それだけで内閣総辞職に値する」(共産)と口をそろえて非難。 与党内からも「とうとう首相が判断ミスを認めた」(公明幹部)との指摘が相次いだ。

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「10万円給付」で公明に難クセ

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急転直下で決まった10万円の一律給付。 収入が減少した世帯への30万円の給付は取り下げ、1度閣議決定した補正予算案を変更するという前代未聞の事態となった。 その方針転換の裏側で何が起きていたのか。 舞台裏に迫った。 (清水大志、山田康博、後藤匡) 「混乱」を陳謝 「混乱を招いたことは私の責任であり、国民に心からおわび申し上げたい」 4月17日の記者会見で、陳謝した安倍総理大臣。 収入が減少した世帯への30万円の給付から方針を転換した理由を説明した。 「今回、緊急事態宣言を全国に広げ、すべての国民に協力をお願いする。 長期戦も予想される中でウイルスとの戦いを乗り切るためには、何よりも国民との一体感が大切だ。 その思いで、全国すべての国民を対象に、一律に1人当たり10万円の給付を行うことを決断した」 「収入が著しく減少し、厳しい状況にある家庭に限って1世帯あたり30万円を給付する措置を予定していたが、国民から寄せられたさまざまな声、与野党の声も踏まえ、さらに給付対象を拡大することにした」 補正予算案の大幅な見直しという前代未聞の事態。 安倍は緊急事態宣言の全国への拡大、それに国民世論や与野党からの声を理由に挙げたが、決断に至る過程では、激しいやり取りがあった。 なぜ当初「対象限定で30万円」だったのか そもそも対象を限定した30万円の給付には、不満の声があった。 話は4月3日にさかのぼる。 総理大臣官邸を訪れた自民党の岸田政調会長は、安倍と面会し、焦点となっていた現金給付について、一律ではなく、世帯を限定して30万円にすることで合意したと発表した。 この発表は自民党幹部にも、連立政権を組む公明党にも驚きだった。 公明党の斉藤幹事長は、岸田の発表直前に記者会見で、世帯ではなく、1人当たり10万円を給付すべきだと主張したばかりだった。 自民党内でも当初から一律給付を求める意見は多かった。 世帯を絞った30万円の給付を発表した岸田自身も、そもそもはNHKの番組で、「国民生活を守るため、1人ひとりにしっかりと届く、手元に残る対策を講じなければいけない」と述べるなど、現金の一律給付を主張していた。 岸田や自民党が何よりも重視していたのは給付のスピード感だった。 限定給付を行うには所得制限などが必要で、線引きなど制度設計に時間がかかるため、一律で一気に配る方が早く家計を支援できるという考えだった。 一方で、「一律給付」には以前から異論もあった。 麻生副総理兼財務大臣は、3月19日の記者会見で、「現金を一人ひとりに配ることを現時点で、財務省で検討していることはない。 現金給付は、リーマンショックの際に行ったが、あまり効果はなかったのではないか」と述べ、慎重な考えを示した。 麻生は、2009年に1万2000円の定額給付を行った際の総理大臣だ。 内閣府がまとめた定額給付の効果の分析によると、実際に消費の増加につながったのは25%で、大半が貯蓄に回ったという。 「同じ失敗はしたくない」 麻生には、この経験が苦い記憶として残っていた。 さらに、一律給付論を下火にさせたのは、スピード感への疑問だった。 10万円の一律給付は、来月中にも開始される見通しだが、当初、政府は、麻生政権で行った定額給付で早くても3か月余りかかったため、給付されるまで数か月かかると説明していた。 こうした中、浮上したのが、対象を限定した自己申告制による給付だった。 当初は、こちらの方が迅速に給付できるとされていた。 安倍と岸田の会談で、世帯を絞った30万円の給付が決まり、政府は、およそ1300万世帯に30万円を給付する制度を設計し、早ければ5月中にも給付を開始することになった。 関係者によると、岸田は安倍との間で、30万円の給付を行ったあと、経済のV字回復を狙う際に、追加の経済対策として一律10万円の給付を検討していくことを確認していたという。 岸田としては、さらなる現金給付の可能性を示唆することで、党内の異論を抑えていた。 公明党も、党内の若手議員や支持者などからの反発は強かったものの、「世帯の平均の人数は2人余りなので、1人当たりの給付額にすれば、変わらない」などとして、容認する姿勢を示していた。 ところが世論は違った。 NHKが4月10日から3日間行った世論調査では、 「あまり評価しない」、「まったく評価しない」が合わせて50%だった。 自民党の若手議員らからも一律給付を求める声が強まった。 野党も「10万円一律給付」論 現金の一律給付は、野党が当初から主張していたことでもあった。 国民民主党は、3月中旬、10万円の一律給付を盛り込んだ経済対策をまとめたほか、立憲民主党なども、4月2日の衆議院本会議で、一律給付を行うべきだと求めた。 発端は二階幹事長 「一律10万円の現金給付を求める切実な声がある。 できることは速やかに実行に移せるよう政府に強力に申し入れていきたい」 流れを変える発端となったのは、4月14日の自民党の二階幹事長の発言だった。 記者団に対し、国民世論や、党内から10万円の一律給付を求める声が上がっていたことを踏まえ、政府に実現を求めていく考えを示した。 ただ、あくまでも30万円の給付などを盛り込んだ補正予算案を成立させ、さらなる経済対策として、第2次補正予算案を編成して行うという想定だった。 また二階は、「所得がたくさんある人にまで現金給付を行うのは財政的に困難だ」と述べ、所得制限を設けるべきだという考えも示していた。 動く公明党 これに強く反応したのが、もともと10万円の給付を求めていた公明党だった。 幹部の1人は、「寝耳に水だった。 一律給付はもともと公明党の主張だったのに、事前の調整もなかった」と話す。 同時に、「裏を返せばチャンスだ。 いま公明党がアタックすれば流れを変えられるかもしれない」と考えたという。 その後の公明党の動きは速かった。 翌15日、朝9時から、緊急の役員会を開催し、9時半ごろに山口代表が官邸に電話して安倍との面会を要請。 そして午前10時、総理大臣官邸で安倍と向き合った山口は、次のように切り出した。 「政府・与党の風通しが悪すぎる。 このままいくと支持率は下がり政権は危うくなる」 公明党には、支持者などから、対象を絞って30万円を給付する案に抗議の電話やメールなどが相次いでいて、山口は難しい立場に置かれていた。 「支持者たちから猛烈なダメ出しがあった。 すごい量の批判だった。 こんなに不評を買ったことはこれまでなかったかもしれない」と振り返る。 そして安倍に、「要望したいのは1点。 緊急事態宣言が出され、状況は大きく変わっており、一律10万円の給付を行うべきだ。 やり方は政府で考えてほしい」と伝え、所得制限を設けず、一律で1人当たり10万円を給付するよう求めた。 これに対し、安倍は「方向性を持って検討する」と答えた。 自公激論 トップ会談を終えた山口が党幹部を集めて状況を共有していたところ、安倍から電話が入った。 この時、山口は10万円の一律給付について、追加の対策としてではなく、今回の補正予算案を見直し、対象を絞った30万円の給付はやめて、実現するよう求めた。 ここが公明党と自民党で大きく異なる点だった。 安倍は、「政調会長同士で議論をまとめて、結論を持ってきてください」と答えた。 すぐに自民・公明両党の政務調査会長が議論したものの、結論は出ず、幹事長も交えて夜まで断続的に協議が行われた。 この中で、公明党は、収入が減少した世帯への30万円の給付は、国民の評価が厳しく、それに代わる一律給付を早期に行うべきだとして、補正予算案の見直しを求めた。 これに対し、自民党は、補正予算案は閣議で決定している上、変更すれば、経済対策全体の実行が遅れかねないとして、補正予算案を成立させた上で、追加の経済対策として、10万円の給付を実現すべきだと伝えた。 岸田は公明党との協議の前に、安倍とも打ち合わせを行い、あくまで補正予算案は変えず、成立を目指すという方針を確認していたという。 また麻生は、国の財政を預かる立場から、岸田に対し、公明党に一歩も譲らないようアドバイスをしていたという。 終了後、岸田は、「それぞれが主張を説明し、結論としては平行線だった。 補正予算案の準備は続けていくことになる。 自民党の方針は変わらない」と述べた。 自民党の幹部は、「公明党に納得してもらうしかない」と話したが、公明党の幹部は、「ゼロ回答だ」と不満を漏らした。 決断の日 そして、事態が急転直下動いたのは、自民・公明両党の幹部が激論を交わした翌日の4月16日だった。 朝、山口は、安倍に再び電話をかけた。 この中で山口は、「連立政権として大きな分岐点に来ている。 私自身も首をかけて、恥を忍んでお願いをしている。 私も総理も決断をしないと危ない。 共倒れになりかねない」と強く迫った。 同時に、公明党は、補正予算案の審議日程などを協議する衆議院予算委員会の理事懇談会には参加しないと自民党に伝えるなど、一歩も引かない姿勢を見せていた。 山口も安倍に、「合意が得られるまで、国会対策の協議は応じられない」と伝えた。 与党の公明党としては異例の対応だった。 そして、午前10時前、財務省に官邸から一本の電話が入った。 「総理が大臣とお会いしたいとおっしゃっているので、主計局長と一緒に官邸にお越し下さい」 そのおよそ1時間半後、麻生と財務省の太田主計局長の姿が、総理大臣官邸にあった。 安倍は、補正予算案に盛り込まれていた、収入が減少した世帯への30万円の給付を取り下げて、すべての国民に一律10万円を給付する考えを伝えた。 「与党が手続きを踏んで閣議決定までした話をいきなり変えるのはどうですかね。 本当にいいのでしょうかね」 麻生は安倍の考えに理解を示す一方、与党の意思決定プロセスを踏んだ補正予算案を変えることに懸念も伝えた。 その後、安倍は二階、岸田と会談。 収入が減少した世帯への30万円の給付に代わって、国民1人当たり10万円を一律で給付する意向を伝え、与党内の調整を進めるよう指示した。 会談後、岸田は詰めかけた記者団に対し、「安倍総理からは、『引き続き調整の努力をするように』という指示があった」と険しい顔で繰り返した。 緊急事態宣言拡大とセットで 一方、政府内では緊急事態宣言の拡大に向けた議論も大詰めを迎えていた。 宣言の対象地域を全国に拡大する案に対し、経済や雇用への影響を懸念し、一部拡大にとどめるべきだという意見も根強くあったが、安倍は宣言の全国への拡大と10万円の一律給付を合わせて表明することを決断した。 政権運営に影響を及ぼすわけにはいかないという思いもあった。 午後4時ごろ、安倍は山口に電話し、補正予算案を見直し、所得制限を設けずに、現金10万円の一律給付を実現する考えを伝えた。 その夜、安倍は改めて山口に電話し、「自民・公明両党の結束を高める良い機会となった。 これからも政権与党としてしっかり結束してやっていこう」と伝えた。 公明党の幹部は、「壮絶な夫婦げんかだったが、本気でぶつかったからこそ結束が強まった。 耳が痛いことも言える関係が大切だ」と語った。 急転直下の影響は ただ、自民党内には、公明党への不満の声も出ている。 方針転換の翌日開かれた自民党の会議。 出席した議員から、一律給付に賛同する意見が相次ぐ一方、「自民党でも主張していたのに通らなかったものが、なぜ公明党が主張したら通るのか」と不満の声が上がった。 公明党の閣僚も出席する閣議で決定した補正予算案の見直しという極めて異例の事態。 連立政権の発足から20年余りとなる両党の関係に禍根を残す可能性も否定できないという見方も出ている。 また、自民党内では、ポスト安倍に意欲を示す岸田について、「30万円の給付を発表しながら、実現せず、求心力の低下は避けられない」と指摘する声も出ている。 今回の決定のあり方は、安倍1強とも言われてきた政治情勢に影響を与えることも予想される。 「赤字国債」「不公平感」の課題も 10万円の一律給付の対象者は、全国民1億2000万人以上。 12兆8803億円の費用が必要となる。 補正予算案は、見直し前よりも歳出が8兆8857億円増え、財源は赤字国債をさらに追加で発行して賄うことになる。 また、一律給付になったことで、高所得者や収入が減っていない人にも10万円が給付されることになる。 収入が減っていなくても3人家族なら30万円。 一方で、例えば、解雇され、収入がなくなっていても、単身者は10万円だ。 不公平感を訴える声が上がることも予想され、野党からは、早速、収入が減った世帯への30万円の給付も行うべきだという意見が出ている。 給付は迅速に行えるのか、実効性のあるものとなるのか。 急転直下の結果を今後も検証する必要がある。 (文中敬称略).

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「10万円給付」で公明に難クセ

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緊急事態宣言を発令した安倍晋三首相。 写真は4月7日の記者会見(代表撮影/ロイター/アフロ) 安倍晋三首相は4月16日、緊急事態宣言の対象を全国に拡大するとともに、「困窮世帯に30万円」としていた現金給付を「全国民一律1人10万円」に大転換した。 政府の一連のコロナ対策への国民からの批判の拡大と、内閣不支持率の急増が背景にあるとみられるが、浮足立ったトップリーダーの右往左往ぶりに、国民の間からも「もはやアベノリスクだ」との厳しい声も出始めた。 目立つ政府首脳の狼狽と迷走 全国緊急事態宣言や一律10万円は、国内での感染拡大が始まった段階から、各界各層で要望の声が相次いでいた。 このため、「全国宣言は遅すぎ」「給付金変更は究極の場当たり」などという批判が広がった。 安倍首相と政府与党幹部による「遭遇戦のような緊急協議」(自民幹部)が本格化したのは、4月7日の緊急事態宣言発令から9日目の16日午前のこと。 政府は16日夕から専門家会議への諮問や国会などを経て、緊急事態宣言の全国への拡大と一律10万円給付への方針転換を相次いで正式決定した。 「まさにドタバタ劇の連続」(政府筋)で、その間の政府首脳らの狼狽ぶりや迷走も際立った。 中でも最大のサプライズは、国民1人あたり一律で10万円を配るという決定だ。 7日に閣議決定した108兆円の超大型経済対策の中で、最大の目玉となる現金給付方式を大転換した。 これに伴い、極めて異例な補正予算案の組み替えに、野党は「前代未聞で空前絶後」(国民民主)、「それだけで内閣総辞職に値する」(共産)と口をそろえて非難。 与党内からも「とうとう首相が判断ミスを認めた」(公明幹部)との指摘が相次いだ。

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